足つぼで病気は治るのか?

一部の足つぼの流派に“足つぼで病気が治る”と言っているところがあります。この件につき申し述べます。これらの流派が「病気が治る」と言う理由は、「足に溜まった老廃物が病気の原因だから、この老廃物を徹底的に揉み潰せば病気が治る」というものです。

 

一見もっともらしく聞こえるので、飛びついてしまう患者さんも多いようですが、この理論ははっきり言います、まちがいです。何でもそうですが、物事が発生するには必ず原因があります。この原因を解明せずして根本的に物事を解決することはできません。ここで落ち着いて考えていただきたいのですが、足が原因で(足に溜まった老廃物が原因で)病気になるということがありえますか?99%あり得ないんですよ。(特別な場合はある可能性があるので、99%という言い方をします)。それを足で治そうということ自体に無理があるのです。

 

こう言うと「治っている人がいるではないか」と反論されます。結論を先に言えば、「病気が治るのではなく、治る人もいるし、治らない人もいる」というのが正しい言い方です。但し、治る人がいるというのは、この流派が言うような「足の老廃物がなくなったから」ではなく、実に自律神経の働きによるのです。治る理論が全く違うのです。

 

自律神経というものはおそらく西洋医学の発想・感覚では理解しにくい働きを持っています。西洋医学では、身体はパーツの集まりと捉えており、いわば1+1=2で、体やそのパーツの働きはほぼ決まっていると考えます。ところがこの自律神経というのは、人の感じ方・考え方・感情・生き方など、機械にはない人間(生物)独特のものにまともに左右される神経なのです。さきほどの1+1=2の例でいえば、1+1=0.5にもなるし、1+1=3にもなるし、1+1=10にさえなるという神経です。東洋医学(東洋の考え)では、人間の心と体は決してバラバラではなく、一つである(相互に大きく影響しあっている)と考えます。西洋医学でも多数の実例からこのことに気づき、「あとは患者の精神力だ」などということも増えましたが、元々西洋医学にはこの発想はありません。その証拠にこの“精神力”“感じ方”ということを数値化しようという考えはまだありませんし、仮にあったとしても実現化できていません。

 

ところがそれを数値化した人が現れました。新潟大学名誉教授の安保徹先生です。安保先生は、自律神経の交感神経と副交感神経が、白血球中の顆粒球とリンパ球の数の増減を支配していることを突き止めました(福田安保理論)。これこそ感情・感覚を数値で表すことができるということを解明したと言える大発見だと言ってよいと思います。

 

顆粒球とリンパ球はそれぞれ人間の免疫システムを構成しており、健康な人ですと、だいたい顆粒球55~65%、リンパ球が30~40%位となっています。この範囲であれば外からウィルス、ガン細胞、細菌のような外敵が入ってきても充分退治してくれ、病気にかかることはありません。ところが、このバランスが崩れてくると、充分な免疫の働きができず、病気を招くことになります。現代日本人(特に大都市で)の生活は過去に比べて圧倒的に心身のストレスが大きく、交感神経の緊張を招きやすく、それが長期間続くことにより顆粒球が増えすぎ、リンパ球を減らしてしまい、結果としていわゆる生活習慣病を招くのです。ガンを含め現代病といわれるものはほとんどがこれが原因となっています。

 

2,3例を出しておきます。まず、ガン。実はガン細胞は毎日私たちの体にできています。しかしガンは発症しません。リンパ球が食べてくれているからです。ところが長期にわたりストレスが強く続くと、交感神経異常緊張となり、顆粒球が増えすぎリンパ球が減少します。すると今までガン細胞が食べられていたものが、食べきれなくなり、“発症”ということになります。ちなみに人間50歳を過ぎると、それまでの生活習慣が重なりリンパ球が減ってくることがわかっています。ところが75歳をすぎると現役で働いている人が少なくなるからだと思いますが、またリンパ球は増えてきます。これはガン年齢といわれる年齢層と一致することをみるとわかると思います。

 

次に脳卒中などの血管系の病気。この種類の病気は顆粒球の増えすぎにより起こります。交感神経の長期にわたる緊張により、顆粒球が増えすぎるのです。顆粒球は主に細菌を退治してくれますが、増えすぎると自身の組織細胞を攻撃し始めます。そして攻撃した後自爆して果てるという、壮絶な最期をとげるのですが、その際に活性酸素をまき散らすのです。この自身の組織細胞の攻撃と、活性酸素の異常増加により、組織(主に血管)に炎症が起こります。これが血管系の病気です。

 

最後に高血圧。安保先生は高血圧と糖尿病は病気ではないとおっしゃっています。私も同感です。血圧は自律神経の支配下で、交感神経が緊張すると高くなり、副交感神経が優位になりリラックスモードになると下がります。これを血圧が高いからと言って薬で下げようとするからおかしなことになるのです。確かに血圧が高い状態が長く続くと、ほかの生活習慣病を併発したりするのは確かですが、だからと言って薬で下げるというのは原因を無視しているというべきで、よくないに決まっています。血圧を上げてしまう最大の原因は長期にわたる睡眠不足です。早く寝て、充分に睡眠を取ってください。1~2か月で80%の方は血圧が下がります。

 

以上、見てきたようにほとんどの生活習慣病は自律神経を狂わせてしまったことによる、免疫システムの不調なのです。この理論は確立されてまだ20年経っていません。

 

“足の老廃物が病気の原因云々”の書籍は出版されたのが1980年代前半。この福田安保理論がまだ世に出る前です。福田安保理論を知らなかった訳ですから、この本そのものを責めるわけにはいきませんが、医療の進歩は日進月歩。現在でもまだ四半世紀も前の書籍をそのまま実行しているというのは勉強不足の責めは免れないと思います。

 

ついでながら医学的観点から見ても、この本にはいくつかの間違いがあります。(“足つぼ”としては確かによくできた本で、“足つぼ家”のいわばバイブルになっていること、足つぼの先駆け的書籍であるという点は認めますし、その功績はとてつもなく大きいと思います。その上でお話します)

 

例えば、尿管結石。この本によれば、石は老廃物がかたまってできた物であるから、腎臓、尿道などの泌尿器系を徹底的に揉めば石は消えるとあります。この本が出た頃はまだなぜ腎臓に石ができるのかわかっていませんでした。しかし平成14年頃、石が出来る原因が明らかになりました。一言で言えば食生活。カルシウム不足と中性脂肪の取りすぎ。実は典型的な生活習慣病だったのです。現在未だにこの腎結石の石(正体はほぼシュウ酸カルシウム)を溶かす薬は存在しません。足つぼで予防はできるかもしれませんが、生活習慣でできたものを足つぼで消す(溶かす)ことはできません。老廃物が原因などではないのですから。また、一度できてしまった石を消すことは生活習慣を整えるだけでも無理です。素直に泌尿器科を受診するべきです。

 

 

さらに病気の原因が足に溜まった老廃物などではないという反証を一つ挙げます。

タイ王国保健省がタイマサージで病気の治療に効果が上がっていると具体的に病名を挙げて発表していそうです。

 

タイマッサージはセンと呼ばれるエネルギーラインを揉みながらストレッチを交えて筋肉をほぐし、全身の血流をよくするマッサージです。タイマッサージも足(脚)はかなり揉みますが、足つぼのように足裏(フット)に重点を置くということはありませんので、足つぼのように足の老廃物をかき出すような強い刺激は加えません。

 

もし足に溜まった老廃物が病気の原因であるとすれば、足を揉み老廃物を徹底的に潰すしか完治の方法はなく、少なくともタイマッサージなどでは病気を治すことはできないはずです。

 

しかし現実にタイマッサージで病気が治ってるということ。これをどう説明するのでしょうか。

 

先日タイ国立スアンスナンターラジャバット大学のラタナー先生とお話してきました。その中で先生は「マッサージで病状が改善することはあるが、最も大切なのはその後のケアだ。ケアをしなければ病気を本当に治すことはできない」とおっしゃっていました。この発言は正に私の主張そのもので、「生活習慣の乱れが長く続いたことにより自律神経が乱れたことが主な病気の原因で足つぼにせよ何にせよ背中を後押ししているだけに過ぎない。生活習慣の乱れが病気の原因ならば生活習慣を改めうほかに根本から病気を治すことはできない」ということとピッタリ一致するものです。

 

 

 

足に溜まった老廃物が病気の原因などではなく、生活習慣の長期の乱れこそ病気の原因だということがわかっていただけると思います。

一部の足つぼの流派に“足つぼで病気が治る”と言っているところがあります。この件につき申し述べます。これらの流派が「病気が治る」と言う理由は、「足に溜まった老廃物が病気の原因だから、この老廃物を徹底的に揉み潰せば病気が治る」というものです。

 

一見もっともらしく聞こえるので、飛びついてしまう患者さんも多いようですが、この理論ははっきり言います、まちがいです。何でもそうですが、物事が発生するには必ず原因があります。この原因を解明せずして根本的に物事を解決することはできません。ここで落ち着いて考えていただきたいのですが、足が原因で(足に溜まった老廃物が原因で)病気になるということがありえますか?99%あり得ないんですよ。(特別な場合はある可能性があるので、99%という言い方をします)。それを足で治そうということ自体に無理があるのです。

 

こう言うと「治っている人がいるではないか」と反論されます。結論を先に言えば、「病気が治るのではなく、治る人もいるし、治らない人もいる」というのが正しい言い方です。但し、治る人がいるというのは、この流派が言うような「足の老廃物がなくなったから」ではなく、実に自律神経の働きによるのです。治る理論が全く違うのです。

 

自律神経というものはおそらく西洋医学の発想・感覚では理解しにくい働きを持っています。西洋医学では、身体はパーツの集まりと捉えており、いわば1+1=2で、体やそのパーツの働きはほぼ決まっていると考えます。ところがこの自律神経というのは、人の感じ方・考え方・感情・生き方など、機械にはない人間(生物)独特のものにまともに左右される神経なのです。さきほどの1+1=2の例でいえば、1+1=0.5にもなるし、1+1=3にもなるし、1+1=10にさえなるという神経です。東洋医学(東洋の考え)では、人間の心と体は決してバラバラではなく、一つである(相互に大きく影響しあっている)と考えます。西洋医学でも多数の実例からこのことに気づき、「あとは患者の精神力だ」などということも増えましたが、元々西洋医学にはこの発想はありません。その証拠にこの“精神力”“感じ方”ということを数値化しようという考えはまだありませんし、仮にあったとしても実現化できていません。

 

ところがそれを数値化した人が現れました。新潟大学名誉教授の安保徹先生です。安保先生は、自律神経の交感神経と副交感神経が、白血球中の顆粒球とリンパ球の数の増減を支配していることを突き止めました(福田安保理論)。これこそ感情・感覚を数値で表すことができるということを解明したと言える大発見だと言ってよいと思います。

 

顆粒球とリンパ球はそれぞれ人間の免疫システムを構成しており、健康な人ですと、だいたい顆粒球55~65%、リンパ球が30~40%位となっています。この範囲であれば外からウィルス、ガン細胞、細菌のような外敵が入ってきても充分退治してくれ、病気にかかることはありません。ところが、このバランスが崩れてくると、充分な免疫の働きができず、病気を招くことになります。現代日本人(特に大都市で)の生活は過去に比べて圧倒的に心身のストレスが大きく、交感神経の緊張を招きやすく、それが長期間続くことにより顆粒球が増えすぎ、リンパ球を減らしてしまい、結果としていわゆる生活習慣病を招くのです。ガンを含め現代病といわれるものはほとんどがこれが原因となっています。

 

2,3例を出しておきます。まず、ガン。実はガン細胞は毎日私たちの体にできています。しかしガンは発症しません。リンパ球が食べてくれているからです。ところが長期にわたりストレスが強く続くと、交感神経異常緊張となり、顆粒球が増えすぎリンパ球が減少します。すると今までガン細胞が食べられていたものが、食べきれなくなり、“発症”ということになります。ちなみに人間50歳を過ぎると、それまでの生活習慣が重なりリンパ球が減ってくることがわかっています。ところが75歳をすぎると現役で働いている人が少なくなるからだと思いますが、またリンパ球は増えてきます。これはガン年齢といわれる年齢層と一致することをみるとわかると思います。

 

次に脳卒中などの血管系の病気。この種類の病気は顆粒球の増えすぎにより起こります。交感神経の長期にわたる緊張により、顆粒球が増えすぎるのです。顆粒球は主に細菌を退治してくれますが、増えすぎると自身の組織細胞を攻撃し始めます。そして攻撃した後自爆して果てるという、壮絶な最期をとげるのですが、その際に活性酸素をまき散らすのです。この自身の組織細胞の攻撃と、活性酸素の異常増加により、組織(主に血管)に炎症が起こります。これが血管系の病気です。

 

最後に高血圧。安保先生は高血圧と糖尿病は病気ではないとおっしゃっています。私も同感です。血圧は自律神経の支配下で、交感神経が緊張すると高くなり、副交感神経が優位になりリラックスモードになると下がります。これを血圧が高いからと言って薬で下げようとするからおかしなことになるのです。確かに血圧が高い状態が長く続くと、ほかの生活習慣病を併発したりするのは確かですが、だからと言って薬で下げるというのは原因を無視しているというべきで、よくないに決まっています。血圧を上げてしまう最大の原因は長期にわたる睡眠不足です。早く寝て、充分に睡眠を取ってください。1~2か月で80%の方は血圧が下がります。

 

以上、見てきたようにほとんどの生活習慣病は自律神経を狂わせてしまったことによる、免疫システムの不調なのです。この理論は確立されてまだ20年経っていません。

 

“足の老廃物が病気の原因云々”の書籍は出版されたのが1980年代前半。この福田安保理論がまだ世に出る前です。福田安保理論を知らなかった訳ですから、この本そのものを責めるわけにはいきませんが、医療の進歩は日進月歩。現在でもまだ四半世紀も前の書籍をそのまま実行しているというのは勉強不足の責めは免れないと思います。

 

ついでながら医学的観点から見ても、この本にはいくつかの間違いがあります。(“足つぼ”としては確かによくできた本で、“足つぼ家”のいわばバイブルになっていること、足つぼの先駆け的書籍であるという点は認めますし、その功績はとてつもなく大きいと思います。その上でお話します)

 

例えば、尿管結石。この本によれば、石は老廃物がかたまってできた物であるから、腎臓、尿道などの泌尿器系を徹底的に揉めば石は消えるとあります。この本が出た頃はまだなぜ腎臓に石ができるのかわかっていませんでした。しかし平成14年頃、石が出来る原因が明らかになりました。一言で言えば食生活。カルシウム不足と中性脂肪の取りすぎ。実は典型的な生活習慣病だったのです。現在未だにこの腎結石の石(正体はほぼシュウ酸カルシウム)を溶かす薬は存在しません。足つぼで予防はできるかもしれませんが、生活習慣でできたものを足つぼで消す(溶かす)ことはできません。老廃物が原因などではないのですから。また、一度できてしまった石を消すことは生活習慣を整えるだけでも無理です。素直に泌尿器科を受診するべきです。

 

 

さらに病気の原因が足に溜まった老廃物などではないという反証を一つ挙げます。

タイ王国保健省がタイマサージで病気の治療に効果が上がっていると具体的に病名を挙げて発表していそうです。

 

タイマッサージはセンと呼ばれるエネルギーラインを揉みながらストレッチを交えて筋肉をほぐし、全身の血流をよくするマッサージです。タイマッサージも足(脚)はかなり揉みますが、足つぼのように足裏(フット)に重点を置くということはありませんので、足つぼのように足の老廃物をかき出すような強い刺激は加えません。

 

もし足に溜まった老廃物が病気の原因であるとすれば、足を揉み老廃物を徹底的に潰すしか完治の方法はなく、少なくともタイマッサージなどでは病気を治すことはできないはずです。

 

しかし現実にタイマッサージで病気が治ってるということ。これをどう説明するのでしょうか。

 

先日タイ国立スアンスナンターラジャバット大学のラタナー先生とお話してきました。その中で先生は「マッサージで病状が改善することはあるが、最も大切なのはその後のケアだ。ケアをしなければ病気を本当に治すことはできない」とおっしゃっていました。この発言は正に私の主張そのもので、「生活習慣の乱れが長く続いたことにより自律神経が乱れたことが主な病気の原因で足つぼにせよ何にせよ背中を後押ししているだけに過ぎない。生活習慣の乱れが病気の原因ならば生活習慣を改めうほかに根本から病気を治すことはできない」ということとピッタリ一致するものです。

 

 

 

足に溜まった老廃物が病気の原因などではなく、生活習慣の長期の乱れこそ病気の原因だということがわかっていただけると思います。

一部の足つぼの流派に“足つぼで病気が治る”と言っているところがあります。この件につき申し述べます。これらの流派が「病気が治る」と言う理由は、「足に溜まった老廃物が病気の原因だから、この老廃物を徹底的に揉み潰せば病気が治る」というものです。

 

一見もっともらしく聞こえるので、飛びついてしまう患者さんも多いようですが、この理論ははっきり言います、まちがいです。何でもそうですが、物事が発生するには必ず原因があります。この原因を解明せずして根本的に物事を解決することはできません。ここで落ち着いて考えていただきたいのですが、足が原因で(足に溜まった老廃物が原因で)病気になるということがありえますか?99%あり得ないんですよ。(特別な場合はある可能性があるので、99%という言い方をします)。それを足で治そうということ自体に無理があるのです。

 

こう言うと「治っている人がいるではないか」と反論されます。結論を先に言えば、「病気が治るのではなく、治る人もいるし、治らない人もいる」というのが正しい言い方です。但し、治る人がいるというのは、この流派が言うような「足の老廃物がなくなったから」ではなく、実に自律神経の働きによるのです。治る理論が全く違うのです。

 

自律神経というものはおそらく西洋医学の発想・感覚では理解しにくい働きを持っています。西洋医学では、身体はパーツの集まりと捉えており、いわば1+1=2で、体やそのパーツの働きはほぼ決まっていると考えます。ところがこの自律神経というのは、人の感じ方・考え方・感情・生き方など、機械にはない人間(生物)独特のものにまともに左右される神経なのです。さきほどの1+1=2の例でいえば、1+1=0.5にもなるし、1+1=3にもなるし、1+1=10にさえなるという神経です。東洋医学(東洋の考え)では、人間の心と体は決してバラバラではなく、一つである(相互に大きく影響しあっている)と考えます。西洋医学でも多数の実例からこのことに気づき、「あとは患者の精神力だ」などということも増えましたが、元々西洋医学にはこの発想はありません。その証拠にこの“精神力”“感じ方”ということを数値化しようという考えはまだありませんし、仮にあったとしても実現化できていません。

 

ところがそれを数値化した人が現れました。新潟大学名誉教授の安保徹先生です。安保先生は、自律神経の交感神経と副交感神経が、白血球中の顆粒球とリンパ球の数の増減を支配していることを突き止めました(福田安保理論)。これこそ感情・感覚を数値で表すことができるということを解明したと言える大発見だと言ってよいと思います。

 

顆粒球とリンパ球はそれぞれ人間の免疫システムを構成しており、健康な人ですと、だいたい顆粒球55~65%、リンパ球が30~40%位となっています。この範囲であれば外からウィルス、ガン細胞、細菌のような外敵が入ってきても充分退治してくれ、病気にかかることはありません。ところが、このバランスが崩れてくると、充分な免疫の働きができず、病気を招くことになります。現代日本人(特に大都市で)の生活は過去に比べて圧倒的に心身のストレスが大きく、交感神経の緊張を招きやすく、それが長期間続くことにより顆粒球が増えすぎ、リンパ球を減らしてしまい、結果としていわゆる生活習慣病を招くのです。ガンを含め現代病といわれるものはほとんどがこれが原因となっています。

 

2,3例を出しておきます。まず、ガン。実はガン細胞は毎日私たちの体にできています。しかしガンは発症しません。リンパ球が食べてくれているからです。ところが長期にわたりストレスが強く続くと、交感神経異常緊張となり、顆粒球が増えすぎリンパ球が減少します。すると今までガン細胞が食べられていたものが、食べきれなくなり、“発症”ということになります。ちなみに人間50歳を過ぎると、それまでの生活習慣が重なりリンパ球が減ってくることがわかっています。ところが75歳をすぎると現役で働いている人が少なくなるからだと思いますが、またリンパ球は増えてきます。これはガン年齢といわれる年齢層と一致することをみるとわかると思います。

 

次に脳卒中などの血管系の病気。この種類の病気は顆粒球の増えすぎにより起こります。交感神経の長期にわたる緊張により、顆粒球が増えすぎるのです。顆粒球は主に細菌を退治してくれますが、増えすぎると自身の組織細胞を攻撃し始めます。そして攻撃した後自爆して果てるという、壮絶な最期をとげるのですが、その際に活性酸素をまき散らすのです。この自身の組織細胞の攻撃と、活性酸素の異常増加により、組織(主に血管)に炎症が起こります。これが血管系の病気です。

 

最後に高血圧。安保先生は高血圧と糖尿病は病気ではないとおっしゃっています。私も同感です。血圧は自律神経の支配下で、交感神経が緊張すると高くなり、副交感神経が優位になりリラックスモードになると下がります。これを血圧が高いからと言って薬で下げようとするからおかしなことになるのです。確かに血圧が高い状態が長く続くと、ほかの生活習慣病を併発したりするのは確かですが、だからと言って薬で下げるというのは原因を無視しているというべきで、よくないに決まっています。血圧を上げてしまう最大の原因は長期にわたる睡眠不足です。早く寝て、充分に睡眠を取ってください。1~2か月で80%の方は血圧が下がります。

 

以上、見てきたようにほとんどの生活習慣病は自律神経を狂わせてしまったことによる、免疫システムの不調なのです。この理論は確立されてまだ20年経っていません。

 

“足の老廃物が病気の原因云々”の書籍は出版されたのが1980年代前半。この福田安保理論がまだ世に出る前です。福田安保理論を知らなかった訳ですから、この本そのものを責めるわけにはいきませんが、医療の進歩は日進月歩。現在でもまだ四半世紀も前の書籍をそのまま実行しているというのは勉強不足の責めは免れないと思います。

 

ついでながら医学的観点から見ても、この本にはいくつかの間違いがあります。(“足つぼ”としては確かによくできた本で、“足つぼ家”のいわばバイブルになっていること、足つぼの先駆け的書籍であるという点は認めますし、その功績はとてつもなく大きいと思います。その上でお話します)

 

例えば、尿管結石。この本によれば、石は老廃物がかたまってできた物であるから、腎臓、尿道などの泌尿器系を徹底的に揉めば石は消えるとあります。この本が出た頃はまだなぜ腎臓に石ができるのかわかっていませんでした。しかし平成14年頃、石が出来る原因が明らかになりました。一言で言えば食生活。カルシウム不足と中性脂肪の取りすぎ。実は典型的な生活習慣病だったのです。現在未だにこの腎結石の石(正体はほぼシュウ酸カルシウム)を溶かす薬は存在しません。足つぼで予防はできるかもしれませんが、生活習慣でできたものを足つぼで消す(溶かす)ことはできません。老廃物が原因などではないのですから。また、一度できてしまった石を消すことは生活習慣を整えるだけでも無理です。素直に泌尿器科を受診するべきです。

 

 

さらに病気の原因が足に溜まった老廃物などではないという反証を一つ挙げます。

タイ王国保健省がタイマサージで病気の治療に効果が上がっていると具体的に病名を挙げて発表していそうです。

 

タイマッサージはセンと呼ばれるエネルギーラインを揉みながらストレッチを交えて筋肉をほぐし、全身の血流をよくするマッサージです。タイマッサージも足(脚)はかなり揉みますが、足つぼのように足裏(フット)に重点を置くということはありませんので、足つぼのように足の老廃物をかき出すような強い刺激は加えません。

 

もし足に溜まった老廃物が病気の原因であるとすれば、足を揉み老廃物を徹底的に潰すしか完治の方法はなく、少なくともタイマッサージなどでは病気を治すことはできないはずです。

 

しかし現実にタイマッサージで病気が治ってるということ。これをどう説明するのでしょうか。

 

先日タイ国立スアンスナンターラジャバット大学のラタナー先生とお話してきました。その中で先生は「マッサージで病状が改善することはあるが、最も大切なのはその後のケアだ。ケアをしなければ病気を本当に治すことはできない」とおっしゃっていました。この発言は正に私の主張そのもので、「生活習慣の乱れが長く続いたことにより自律神経が乱れたことが主な病気の原因で足つぼにせよ何にせよ背中を後押ししているだけに過ぎない。生活習慣の乱れが病気の原因ならば生活習慣を改めうほかに根本から病気を治すことはできない」ということとピッタリ一致するものです。

 

 

 

足に溜まった老廃物が病気の原因などではなく、生活習慣の長期の乱れこそ病気の原因だということがわかっていただけると思います。